2013年5月30日木曜日

グラスの結露をふきとる度にあの子はわたしを見つめて笑った



「不良とか優等とかさー、あたしもいまだによくわかんないんだけど、でも、男の子は女の子よりわかりやすいとおもうの、特に喧嘩するようなのにはふたつのタイプしかいない、ひとつは名前を欲しがってる子、何中学校の誰それを倒したからあいつはやばい、強い、偉い、みたいに言われたい、『外側』を求める子と、もうひとつは、人を殴ったり蹴ったりすることがただただひたすら気持ちいい子、自分の『内側』を求める子」

「なんとなくわかる」

「でしょ、だいたいどっちも、みんな持ってるけど、たまーに極端な奴いたよ」

「うん」

「特に、気持ちよくなりたいのが理由でやってる方はやばかった、ような気がする、」

「あー、ブレーキがないから」

「そう、人を殴ってるときの目が、まずやばい」

「誰のこと言ってんの」

「気付いてるでしょ」

「うん、ふふ」

「会いたいね、XXXXに」

「うん、会いたいね」

「あたしね、OOOが、女でよかったなあって思うよ」

「なんで?」

「OOOが、からだが丈夫な男の子に生まれてきてたら、きっとXXXXみたいになってた」










「会いたいね、」

「うん、すごく」











ふたりはいつの間にかお酒を呑んでも怒られる理由のない年齢になっていたし、冬ももうすぐそこまで来ていたのに、その日入ったスペイン料理屋でふたりはふたりともサイダーを頼んだ。
ふたりは22歳で20XX年に居て、彼は16歳で永遠の中に居た。

2013年5月29日水曜日

COME AND FIND




べつに死にたいなんて思っちゃいないけど、死はとてもとても甘いものののように思う、死ぬのがこわいと言うひとの気がよく知れない、死だけが、死があるということだけが、いつかは何もかもが終わるということだけが、万物平等に与えられた唯一の救いなのに


と、ともだちに話したら、ともだちは
「それって、ネガティブの極地?なんか暗すぎ」
と言った
わたしは彼女のことがだいすき







還りたい
あのひとに還りたい
ほんとうは今すぐにでも還りたいでも、そのためにすべてを捨てたり投げたり振り払ったりできるほど
わたしは独りじゃなくなった

愛すべきたくさんの人たちが僕を臆病者に変えてしまったんだ
って、すげー歌詞だな なんかもうこわい、すさまじいことを言葉にすることが凄まじい
いつかベートーヴェンもみすちるがきけるといいね

「長雨のはじまりだ」



目が覚めた。熱が出てる。でもきっと明日には下がる。西に引っ越してさんかいも熱をだしてる。何かおかしいのかもしれない。隣の山の神社は相変わらず好きだけれど。熱を出すのは別にいいよ。寝てれば治るのは知ってるから。ただただ嫌な夢を見るのが最悪だ。つめたい汗をびっしゃりかいてる。水をごくごくのんで、嘔吐くほどのんで、でも身体はまだ水がほしいって言うから
 

やめよう
雨がふってる
山にふってる
昼には雲が生まれてた



世界には陰陽というものがあって、中国の黒と白の、すべてはこれでできていて、なんか、読む本読む本、みんなそんな話ばっかしてるよ、なんで?
って思ってたら、週末に行った整体のおねえさんに初診で
「あんたは、生まれながらに陰のケが強いなあ。年齢とかはあんま関係ないんだけど、それにしても23歳でどうしてこんな歪みだらけの身体になるんやろ」
と言われて、知らんわそんなもん、と思って、そしたら次の日会った子(ともだちになって1週間だけどとってもかわいくてピアノの楽譜とか夜とかと会話ができる、きがちがう人だらけの2013年のこの国のなかでとってもマトモな子なんだ)と、何かの会話をしていて、そのときにその子が

「陰極まれば陽に転ず、ってことばがあるよ」

と、教えてくれて、ふと、何かが、ふと、息をふきかえした
20歳からの三年間くらい、とってもクリーンな環境で、クリーンと呼べる生活をしていて、こころは23年間のなかでたぶん、いちばん、狂ってなくて、あたたかくて心地が良かったけど、でもわたしそういえば、どこで生まれたんだっけ?真夜中に、無理矢理、息苦しい道を通らされて、押し出されたけど、なんかその瞬間から既に怠かった、ような気がするんだけど、そこんとこどう?
でも西洋的な考え方だと、今のこの思考って「悪魔にそそのかされた」ことになるらしい、キリスト教的な考え方、極端すぎてどうかと思うんだけど、あっ、これが二元論?そういう!!!!!!!!!!!!ことか!!!!!!!!!!!!!!!!


東洋の、ひとたちの、考え方が好きです


いまは あたまががんがんする とても
世界は 二度 隔たれた
忘れないよ、XXXX年のX月XX日、むらさきいろの曇天を、病室の窓から眺めてた
彼女みたいに 太陽みたいに笑うあの子みたいに 生きてみたかっただけなんだ




魔法みたいな ことのはを 
あやつるひとに 射貫かれる
わたしの わたしの 指先を
飴玉みたいに なめたひと




何が嘘で、何が本当とか、まじで興味がないよ
どれが虚実で、どれが真実か、きっと死ぬまで考えてるんだろうから
意味がないもの、そんなの


2013年5月17日金曜日

透明なドブのために何もかも終われ



地震があった年の夏に、大学の大好きな生物学の先生と名取に調査に行ったときに見た、
泥やら何やらでぐだぐだに詰まってるところしか見た事なかった農業用排水路には信じられない色の、エメラルドグリーン色の、冬の朝の空色の、わき出した地下水が流れていた
その日はたしかに先生と、T大の先生と、わたしのお父さんと、わたしが、それを見ていたはずなんだけど、そこにいた誰も写真を撮ってなかった、なぜか、でもそういうことってあるよね、わたしはすごくたくさんあるよ



ちきゅうのさとうなみは、風邪をたくさんひいてこころががらくたみたいになってるらしいよ、はは、だっせーの!
今からバカンスで金星のプラタナスを見に行くから、そこでしゃなしゃなの音を集めてビンに詰めて帰ってきたらそれを市場で売るから、わたしには関係ないんだけど。


どれが現実かなんてきみが決めなよ
石が喋ってたって花が歌ってたっていいじゃん、別に
気をつけな、あいつらはすぐ「病名」ってやつをつけたがるんだから
そういう悪趣味を持ってる種類の生き物なんだよ、
彼らはとても住みにくそうな星に住んでる、地面が揺れたり、大きな湖が大きく逆流したり、その合間を見つけては互いに殺し合ったり、して、

信じらんないよねー意味わかんねー

あ、つけま、買いに行かなきゃ、

じゃあ、明日の夜21時に、セレスの前で。
地球?見てく?えー、でも待ち合わせって木星の前でしょ?
やだよ、遠回りだしそれにあそこ、外見綺麗なだけじゃん。
それに今行ったってさ、あいつら人口衛星とか発明したもんだから、周りにゴミみたいにばかばか浮いてるんだよ?
わはは、ばーか!わたしたちが行ったの、地球時間だと70年前くらいだよ?そうだよ、修学旅行のときだもん。
そうそう、あのときさ、XXXが、旅行船の窓から地球の南側にXXXXX落としちゃって、それが地球外物質だ!とか言われちゃってて、あれはちょーうけた!
うん、拾いに?なに?山芋?ああ、あれはまじ美味い。
でも行きたくない、なんか悲しくなるんだもん、あの星。
えー、うーん、じゃあ現地集合でいい?
うん、じゃあ23時に金星でね。
じゃあねー、はーい、ばいばい




【通話時間:63,072,224秒(地球時間)】





「うわ、今月通話やばい、またママに怒られる」





2013年5月2日木曜日

Saudade suicide



ひとりでXXXXの駅前を歩くことは身体中をたくさんの針でちくちく浅くなんどもつつかれるのに似ていて、針で浅くつつかれるそれ事体によって死ぬことは絶対にあり得なくて、それを分かってもいるんだけど、最終的にはとても泣き出したくて逃げ出したい気持ちになる、そしてたまにサイダーのにおいによく似た亡霊の影を見る度に心から安堵する、ことに気付いて、iPodをバックパックから取り出してイヤホンを耳にねじ込んで世界でいちばんに優しい轟音を160GBから引っ張り出して、やっと少年の脳みそは真っ白になる、真っ白になる、真夏の空が落っこちてきそうな日曜日のサナトリウムの丘に干されていたぴかぴかの白いシーツのように。


自分を孕み、死を以って自分を捨てた、女を、思い出していた。
美しかった(ような気がするけれど本当のところはきっと特別そうでもない)。
ビールが飲みたいと思った。
16歳になったばかりの春の終わりだった。