2017年5月8日月曜日

The answer is blowin' in the wind


十数年ぶりに、つまり大人になってからはじめて自分の育った町 荒浜の田植えの手伝いをした。



イナサ→南からのあたたかい風

コチ→東からの湿った風
    
ナライ→西からの乾いた風


おんちゃん(親戚のおじさん)が教えてくれたお米作りに大事な風の言葉、語源は何だろうと思って帰ってから調べたら、もとは大和言葉なんだそう。

大和言葉は、1500年くらい前にとなりの大陸から漢字や言葉がやって来る前から、それとは別に日本人が使ってきた言葉(らしい)。

今日(日付はもう昨日か)は西からの風がすごく強くて、遮る建物も丘もない仙台平野でみんな砂まみれになりながら作業してたんだけど、わたしの祖父を含めいったい何人の人がこんな田植えの季節を何百回過ごしたんだろうなあと思った。

震災後の復興事業のひとつ、沿岸沿いの道路のかさ上げ工事は順調にお進みになられているご様子でいらっしゃって、わたしの育った家があった場所は小高いコンクリートの下に埋まる雰囲気がじりじり出はじめてる。

色んなことが今までもこれからも常に変わり続けていて、それは当たり前のことなんだけど、
それでも1500年前と同じ言葉を使って、1500年前と同じように今でも人間がコントロールできない季節や気候の中で、同じように稲作をしてる。

言葉は時間とか変遷とか有限とか血脈とかを軽く飛び越えてくるときがある。
言葉は全てを抱擁できないけど、たまにその事実を追い抜いて網羅してくる。

誰かや何かが何かしらのボーダーを越えるのを見たり感じたとき、とても幸せな気持ちを感じる。美しくて、ありがとうって思う。
それこそ、うまく言葉にできないんだけど。

じんわりした幸福感がいちばんあったかいおふとんだな。
ベッドの中です。