2013年12月9日月曜日

ゆめのはなし

制服の女の子が泣いていて、よく晴れた昼下がりの、陽だまりの庭の、木製のテラステーブルに伏して泣いていて、ゆるいパーマをかけた赤茶の髪が広がってい て、彼女が肩を揺らすたびに毛先はわずかに動いてそれをひとりのおばあさんと5歳くらいの男の子とわたしが、部屋の中から、レースカーテン越しに見ていたけど、誰も声をかけられなかった。その景色が、あまりにも美しくて痛かったから。いつかあの女の子を悪い夢の中から救いだそう。と、決めました。

2013年9月7日土曜日

you are here

 
夕暮れの底
揺れる稲穂
地平線と青
そのすきま
きみが居る
 
背の高い芒
かきわけて
進んで行く
波と陸の間
きみが居る
 
呼吸する芝
寝坊した雀
晴天の予感
朝露を掬う
きみが居る
 
春が過ぎる
夏は彼方へ
秋は去った
冬が終わる
きみが居る
この世界の
どこにでも
 
 
 
 
 
 



思い出すよ
いつかの虚
その果てで
きっと君も





2013年7月8日月曜日

「部屋のガーベラが元気なかったからシャンプーしてあげたら枯れちゃったんだよね」



しかるべき年齢にしかるべきことを通過できないというのはこの人生における最大の以下省略します


珊瑚色の爪でこれを書いてる
たぶん小学校3年生くらいのときに、じぶんじしんのことがすきな人間なんてはたして本当にこの世に存在するのだろうかと思っていて、それをぽそっと口に出したときにちほちゃんが「え、ちほは自分のことだいすきだよ」って言って、下校時刻の音楽室の前、隕石がふってきて頭をなぐられて脳みそぴゅーっと飛び出したような感じ、まじでーーーーーーって
今でもすごく覚えてる、けど、きっとこれから数年のあいだに忘れるだろうと思う
ちほちゃん、天真爛漫ですごくいい子だった、でもたぶんもう二度とすれちがわない
わかりあえたかもしれなかったたくさんのひとたち そういう風にできてる
それでも、爪に色を塗っているだけでひそひそ話をされたり大人に呼び出されて怒られる世界から抜け出せて、わたしは本当に本当に幸せだよって、なんか、中学生くらいの女の子に言ってみたい


レイチェルはファービーよりもユニコーンに似てるのになと2年前くらいからずっと思ってるけど本人には伝えてない
レイチェルは夜空を走れないの?ってきいたことはあるけど
なんて答えられたかは忘れちゃった
たぶん笑ってた
忘れたと思っているすべてのことは記憶の底に沈殿している、から、心配しないで、何も 


あの傷だらけの男の子に、穏やかな場所でパーティーに行く準備をしながら愛する男の子と笑いあっていられるような未来が待っていますように
大丈夫だよ待ってるよ
予言者だし犬だし宇宙飛行士だし海だからわかるよ から、心配しないで、何も


 kyoto 37℃ 熱帯夜なの?
好きなひとなんかいない
みんな大好きだから
本当のことなんだけどな



2013年6月26日水曜日

Tonight,I love you






月を拾いに行ったままあの子は帰ってこなかったけどべつにそれでも構わないんだ
今日は雨がふっていたからナッツバーをつくった
夕方には家の前の森のアカマツがとても心地良さそうに歌ってた
サブレが入っていた黄色いブリキの缶に、ナッツバーとアカマツの歌をひとつずついれて
384,400km先のあの子へ贈るために、庭に埋めた
大きな月の光が、さんさんと白くて、初夏の風を枕にして眠る木の葉に影をつくって、遊んでた
ふりそそぐ 384,400km先 1.3秒の隙間 いつでも

いつか届くだろう
愛してるよ
今夜も


2013年6月2日日曜日



それっていうのは、大昔の呪いで、伸びて、絡みつく、いまでも


37℃をこえる熱を三度過ぎて、何かが呼吸をはじめた。
小さいときによく見ていた夢をまた見るようになった。
景色とか、においとか、そこで自分がしていることとか、わからなかったんだけど、十数年ぶりに見るそれはとてもたくさんの意味を持ってた。
もし本当にあれがただの夢(無意識の領分や記憶の整理整頓として眠ってるあいだに脳みそがもぞもぞしてること)じゃないんだとしたら、あまりにもできすぎてる。
し、あと最近は夜に歩いてたり地下鉄の階段をのぼっているときとかによく8歳と14歳と17歳のわたしがわたしの後をつけてくる




過去→→現在←←←未来
     ↓
     ↓
             ↓
             ↓
     ↓
つまり  今  が一番遠いところにあって、過去の方が現在に近い



だってさ、どうして大人になるまでの時間ってこんなにも長いんだろうって、秋の終わりの、あのちいさな町の、まだ太陽がのぼるまえの、あのちいさなまちの浜辺で、あの子と泣いてたときのこと、きのうのことみたいにおもってる

2013年5月30日木曜日

グラスの結露をふきとる度にあの子はわたしを見つめて笑った



「不良とか優等とかさー、あたしもいまだによくわかんないんだけど、でも、男の子は女の子よりわかりやすいとおもうの、特に喧嘩するようなのにはふたつのタイプしかいない、ひとつは名前を欲しがってる子、何中学校の誰それを倒したからあいつはやばい、強い、偉い、みたいに言われたい、『外側』を求める子と、もうひとつは、人を殴ったり蹴ったりすることがただただひたすら気持ちいい子、自分の『内側』を求める子」

「なんとなくわかる」

「でしょ、だいたいどっちも、みんな持ってるけど、たまーに極端な奴いたよ」

「うん」

「特に、気持ちよくなりたいのが理由でやってる方はやばかった、ような気がする、」

「あー、ブレーキがないから」

「そう、人を殴ってるときの目が、まずやばい」

「誰のこと言ってんの」

「気付いてるでしょ」

「うん、ふふ」

「会いたいね、XXXXに」

「うん、会いたいね」

「あたしね、OOOが、女でよかったなあって思うよ」

「なんで?」

「OOOが、からだが丈夫な男の子に生まれてきてたら、きっとXXXXみたいになってた」










「会いたいね、」

「うん、すごく」











ふたりはいつの間にかお酒を呑んでも怒られる理由のない年齢になっていたし、冬ももうすぐそこまで来ていたのに、その日入ったスペイン料理屋でふたりはふたりともサイダーを頼んだ。
ふたりは22歳で20XX年に居て、彼は16歳で永遠の中に居た。

2013年5月29日水曜日

COME AND FIND




べつに死にたいなんて思っちゃいないけど、死はとてもとても甘いものののように思う、死ぬのがこわいと言うひとの気がよく知れない、死だけが、死があるということだけが、いつかは何もかもが終わるということだけが、万物平等に与えられた唯一の救いなのに


と、ともだちに話したら、ともだちは
「それって、ネガティブの極地?なんか暗すぎ」
と言った
わたしは彼女のことがだいすき







還りたい
あのひとに還りたい
ほんとうは今すぐにでも還りたいでも、そのためにすべてを捨てたり投げたり振り払ったりできるほど
わたしは独りじゃなくなった

愛すべきたくさんの人たちが僕を臆病者に変えてしまったんだ
って、すげー歌詞だな なんかもうこわい、すさまじいことを言葉にすることが凄まじい
いつかベートーヴェンもみすちるがきけるといいね

「長雨のはじまりだ」



目が覚めた。熱が出てる。でもきっと明日には下がる。西に引っ越してさんかいも熱をだしてる。何かおかしいのかもしれない。隣の山の神社は相変わらず好きだけれど。熱を出すのは別にいいよ。寝てれば治るのは知ってるから。ただただ嫌な夢を見るのが最悪だ。つめたい汗をびっしゃりかいてる。水をごくごくのんで、嘔吐くほどのんで、でも身体はまだ水がほしいって言うから
 

やめよう
雨がふってる
山にふってる
昼には雲が生まれてた



世界には陰陽というものがあって、中国の黒と白の、すべてはこれでできていて、なんか、読む本読む本、みんなそんな話ばっかしてるよ、なんで?
って思ってたら、週末に行った整体のおねえさんに初診で
「あんたは、生まれながらに陰のケが強いなあ。年齢とかはあんま関係ないんだけど、それにしても23歳でどうしてこんな歪みだらけの身体になるんやろ」
と言われて、知らんわそんなもん、と思って、そしたら次の日会った子(ともだちになって1週間だけどとってもかわいくてピアノの楽譜とか夜とかと会話ができる、きがちがう人だらけの2013年のこの国のなかでとってもマトモな子なんだ)と、何かの会話をしていて、そのときにその子が

「陰極まれば陽に転ず、ってことばがあるよ」

と、教えてくれて、ふと、何かが、ふと、息をふきかえした
20歳からの三年間くらい、とってもクリーンな環境で、クリーンと呼べる生活をしていて、こころは23年間のなかでたぶん、いちばん、狂ってなくて、あたたかくて心地が良かったけど、でもわたしそういえば、どこで生まれたんだっけ?真夜中に、無理矢理、息苦しい道を通らされて、押し出されたけど、なんかその瞬間から既に怠かった、ような気がするんだけど、そこんとこどう?
でも西洋的な考え方だと、今のこの思考って「悪魔にそそのかされた」ことになるらしい、キリスト教的な考え方、極端すぎてどうかと思うんだけど、あっ、これが二元論?そういう!!!!!!!!!!!!ことか!!!!!!!!!!!!!!!!


東洋の、ひとたちの、考え方が好きです


いまは あたまががんがんする とても
世界は 二度 隔たれた
忘れないよ、XXXX年のX月XX日、むらさきいろの曇天を、病室の窓から眺めてた
彼女みたいに 太陽みたいに笑うあの子みたいに 生きてみたかっただけなんだ




魔法みたいな ことのはを 
あやつるひとに 射貫かれる
わたしの わたしの 指先を
飴玉みたいに なめたひと




何が嘘で、何が本当とか、まじで興味がないよ
どれが虚実で、どれが真実か、きっと死ぬまで考えてるんだろうから
意味がないもの、そんなの


2013年5月17日金曜日

透明なドブのために何もかも終われ



地震があった年の夏に、大学の大好きな生物学の先生と名取に調査に行ったときに見た、
泥やら何やらでぐだぐだに詰まってるところしか見た事なかった農業用排水路には信じられない色の、エメラルドグリーン色の、冬の朝の空色の、わき出した地下水が流れていた
その日はたしかに先生と、T大の先生と、わたしのお父さんと、わたしが、それを見ていたはずなんだけど、そこにいた誰も写真を撮ってなかった、なぜか、でもそういうことってあるよね、わたしはすごくたくさんあるよ



ちきゅうのさとうなみは、風邪をたくさんひいてこころががらくたみたいになってるらしいよ、はは、だっせーの!
今からバカンスで金星のプラタナスを見に行くから、そこでしゃなしゃなの音を集めてビンに詰めて帰ってきたらそれを市場で売るから、わたしには関係ないんだけど。


どれが現実かなんてきみが決めなよ
石が喋ってたって花が歌ってたっていいじゃん、別に
気をつけな、あいつらはすぐ「病名」ってやつをつけたがるんだから
そういう悪趣味を持ってる種類の生き物なんだよ、
彼らはとても住みにくそうな星に住んでる、地面が揺れたり、大きな湖が大きく逆流したり、その合間を見つけては互いに殺し合ったり、して、

信じらんないよねー意味わかんねー

あ、つけま、買いに行かなきゃ、

じゃあ、明日の夜21時に、セレスの前で。
地球?見てく?えー、でも待ち合わせって木星の前でしょ?
やだよ、遠回りだしそれにあそこ、外見綺麗なだけじゃん。
それに今行ったってさ、あいつら人口衛星とか発明したもんだから、周りにゴミみたいにばかばか浮いてるんだよ?
わはは、ばーか!わたしたちが行ったの、地球時間だと70年前くらいだよ?そうだよ、修学旅行のときだもん。
そうそう、あのときさ、XXXが、旅行船の窓から地球の南側にXXXXX落としちゃって、それが地球外物質だ!とか言われちゃってて、あれはちょーうけた!
うん、拾いに?なに?山芋?ああ、あれはまじ美味い。
でも行きたくない、なんか悲しくなるんだもん、あの星。
えー、うーん、じゃあ現地集合でいい?
うん、じゃあ23時に金星でね。
じゃあねー、はーい、ばいばい




【通話時間:63,072,224秒(地球時間)】





「うわ、今月通話やばい、またママに怒られる」





2013年5月2日木曜日

Saudade suicide



ひとりでXXXXの駅前を歩くことは身体中をたくさんの針でちくちく浅くなんどもつつかれるのに似ていて、針で浅くつつかれるそれ事体によって死ぬことは絶対にあり得なくて、それを分かってもいるんだけど、最終的にはとても泣き出したくて逃げ出したい気持ちになる、そしてたまにサイダーのにおいによく似た亡霊の影を見る度に心から安堵する、ことに気付いて、iPodをバックパックから取り出してイヤホンを耳にねじ込んで世界でいちばんに優しい轟音を160GBから引っ張り出して、やっと少年の脳みそは真っ白になる、真っ白になる、真夏の空が落っこちてきそうな日曜日のサナトリウムの丘に干されていたぴかぴかの白いシーツのように。


自分を孕み、死を以って自分を捨てた、女を、思い出していた。
美しかった(ような気がするけれど本当のところはきっと特別そうでもない)。
ビールが飲みたいと思った。
16歳になったばかりの春の終わりだった。



2013年4月20日土曜日

おねがいだからくろまじゅつはつかわないで



新しい場所に来てだいたい20日くらいが経った
駅の近くの自転車修理屋のお兄さんとしゃべった(パンクバンドをやってるって言ってた)(自転車修理屋さんがパンクっておもしろいなって思った)
家の近くの銭湯に行った(サウナでくらくらした)(とてもいい感じだ)
美味しいご飯やさんも見つかった(おっきな海老の辛いやつがおいしい)

こうやって、ゆっくり、新しい場所は新しい場所じゃなくなって、だんだん色々なことを忘れてく





2013年4月6日土曜日

エチゼンクラゲが西に消えた



知らない街でドアは開いて、春のにおいにくらくらした


いつかきみも射抜かれただろうか
あの列車の窓から見える
海の平線に
西陽のまたたきに
列車の揺らぎに
深く、射抜かれただろうか





2013年4月1日月曜日

星のこどもが帰る







暗闇の東に燃える青い光をみた
ぼくはそれに手をふった
ばいばいって
誰も憎んではいなかった
星々が歌う声をレクイエムだとは思わなかった
金色の星が山の向こうでぴかぴかしていた
もうすぐ行くねって言ったんだ






2013年3月30日土曜日

さよならハイウェイ



We found love in hopeless place
って画面の中のお姉さんが歌ってた
こういうのが流行ってるのってあなたはわたしに聞いたので
そうだねって言った
あなたはすこし不機嫌になって
「hopeless placeにある愛はたぶん愛じゃないよ」
ってちっちゃな声で言った 


日が あった


わたしは山形がとても好き
というよりも、わたしの身体の下腹の奥底でうごめくぐちゃぐちゃは、山形が好きだった
土地と身体の相性にわたしの意思は関係がない
ことが分かったので、わたしは山形がとても好き
すこし元気になりました

2013年3月29日金曜日

春の月は水がたまる



「どうしてふつうに生きてるだけなのに色々な人を傷つけてしまうんだろう」
「それはね、きっとなみさんの一生の課題なんじゃないですか」

基本的に産まれたときからずっと生きずらいけど生きやすい人生に納得がいくほどまだ何かを見ちゃいない

















・引っ越しに関する諸々の人間生活的な手続きをしたあと、手芸屋さんに寄って、20歳くらいからとてもよく面倒を見てくれたおばさん(おかあさんとよんでいる)がいる喫茶店へ行った
「きちんと」つくってあるピザトーストとオープンサンド 山の上の燻製工房から届いてるベーコンと、おかあさんの庭でとれる野菜がのっている
本当に美味しいたべものは、どうして決まって、とてもきれい
地球とか月とかが誰かによってつくられたものだとしたら、それは「きちんと」つくられたのだろうなと思った

・明後日に東北を出ると言ったらおかあさんは手紙を書くねって言ってくれて、それがとても嬉しかった
何かに困っておしゃべりをしに行くと、必ずヒントをくれたひと
顔の皺がとても美しいひと
愛のひと
生かされた 絡みあって 様々が様々に

・世の中は何もかも整備されていて、ちょっとよくわかんなくて、ちょっとつまんない
整備されていないものの方がおもしろいし愛しい
大学生と話をして本気で泣くおかあさんがいる喫茶店とか
ビールをだばだば、こぼしながら運んできてくれるおじいちゃんが一人でやってる焼き鳥屋さんとか
天井で電車が走ってるイタリア料理屋さんとか
網から煙が出ると厨房から怒りにくるおじさんがやってる焼肉屋さんとか
すごく、なんか、そっちの方がいい

・おかしいことをおかしいと言うと殺されることを知ってる
10歳のときに教室で殺されたから知ってる
でもねーなみねーいま8歳だから関係ないのーーーーー
マリファナが好きだけどそこそこ稼げるミュージシャンを黙認して社会からうまく包み隠す日本の業界とか、変なのー
そういうあれやこれを崇拝するひとたちに、わたしやわたしのつくるものがどれだけ最悪かなんて話をされても傷つかない程度にはタフでいたい
一生かかったって、シラフのままで生まれる前にまで戻ろう、と、おもった、去年の夏

・美しい女の子はとても美しい写真をくれた
月がきれいだとか、光が稲穂に満ちてたり、海が朝を鳴ってたり
そういうものをくそったれみたいに部屋に並べて生きて死ぬ人生がいい



2013年3月28日木曜日

かみさまの眼は青かった


2時間お湯のなかにいていろいろなことがすっきりして、それと同時にいろいろなことに腹が立ったのでブログをつくろうと思って、でもどこのブログが心地よいのかわからなくて、だから自分がいちばんに心地よいと思う日本語をつかう女の子が居る場所にした
佐々木里菜という子で、写真を撮ってる
素敵な人やかわいい子はいくらでもいるけど、美しい人はそんなにいない、彼女は美しい とても
そうやって 髪の毛をドライヤーで乾かしながら ここは生まれた

きのうは一日にふたりのお父さんと会って、ひとりはわたしの肉体をつくったひとで、そのひとは「盆暮れ正月は実家に帰ってこい」と言った。もうひとりには「もう帰ってくるな」と言われたので、盆暮れ正月は絶対に顔を出しに来ようと娘は思った

帰ってくるなという方のお父さんは隻眼で、60歳を過ぎていて、でも誰よりも柔らかい脳みそで世界を見渡す
「目がきれいだとか、瞳がまっすぐだとか言う奴は信用ならん」と父は言うけれど、幼稚な反論にすら本気で怒って睨んでくる、あんなにも真冬の川みたいに透き通る目をわたしは他に知らなくて、そんな目でそんなこと言われてもな、と娘は思ったけど口には出さなかった、来世で言おう

18歳のときには22歳なんてどんなに大人だろうと思ったけど、気付いたら8歳くらいになってる
それを真冬の川みたいな父に言ったら
「自分に自信がついて素直になっただけだ、思春期みたいに自分に自信のない人間は取り繕って自分を隠す、だからおまえはすこし大人になったんだよ」
と言われた

何もしなくても、時間はつみかさなって、生きた数字は増えてく
にんげん が便利に生きるためにつくったカウントでしかないのだなと、深夜2時まで22歳ふたりとお酒を呑んでもからりと歩く62歳を見て
長生きしてね 白杉さん きっといつかとびきりの音楽をプレゼントするから

四年間、家族みたいな時間を過ごして、何かしらの尊いかもしれないものを一緒につくった友人たちは、ほとんど東北を出て行った
五日後にはわたしも出て行く
携帯に残ってたアドレスをぜんぶ消した
本当に本当に好きなひとにはまた会えるって知ってる それは今のカウントを飛び越えた場所かもしれなくて、でもまた会えることだけを知ってて、たぶんわたしはずっとずっとそうやってきてここに居た、ということも知ってる
色々な事情でここから去って行った人たちすらもまた

みんな本当はぜんちぜんのう なんだよ 本当だよ

あー
Facebookとか本当に窮屈で退屈で馬鹿みたいに便利だ
iPadがやけに明るいと思ったら満月だった
「月齢に甘えんな」と、後輩の女の子が言っていたことを思い出した